英小売協会(BRC)は9日、英国の欧州連合(EU)離脱による小売業界の労働力への影響に関する報告書を公表し、EU出身者が自由に働けなくなれば商品価格や配達料金の上昇につながり翌日配達も難しくなると警告した。政府には、労働者を確保するため早急の対応策を求めている。
報告書によると、小売業界に身を置くEU出身の労働者は17万人と全体の6%だが、倉庫・配送では4分の1を超えるという。小売業者のうち56%は、EU出身の従業員が英国での居住権について懸念を持っていると答え、22%は既にEU出身者が離職したと明らかにしている。
BRCは、「技能と労働者の縮小や雇用コストの上昇の影響が消費者におよぶ可能性がある」と指摘。政府には、英国内のEU出身者に対して雇用の確実性を提供するとともに、ブレグジット後も消費者の需要を満たすためEU出身の労働者を確保できる移民制度の導入を求めている。また国内の労働力にも目を向け、将来の技能や才能に投資するため政府が小売業界と協力する必要性を強調した。
これに対して政府の広報担当者は、「政府の諮問機関である移民助言委員会(MAC)に英国の経済・社会におけるEU市民の果たす役割を調べるよう依頼している」として、この調査の中で雇用主は意見を表明できると説明している。[労務]
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