欧州委員会は4日、米オンライン販売大手アマゾンがルクセンブルクで受けていた税制上の優遇措置が国家補助に関する欧州連合(EU)法違反に当たるとして、同社から未払い税の約2億5,000万ユーロを追徴するようルクセンブルクに命じた。欧州委は併せて、アイルランドが米アップルからの未払い税130億ユーロの追徴を怠ったとして、欧州司法裁判所に提訴している。
アマゾンは、ルクセンブルクに設立した子会社で欧州内の利益の大半を計上し、同国から2003年に受けた税制優遇措置を通じて実質的に課税を逃れていた。欧州委員会はこれについて、2014年10月に本格調査を開始し、2015年1月には、ルクセンブルクが特定の企業だけにこうした特別税制を認めるのはEU法違反との暫定的見解を示していた。
欧州委のマルグレーテ・ベステアー競争担当委員は、「ルクセンブルクがアマゾンに違法な税制優遇を行った結果、同社の利益の4分の3近くが課税されていなかった」と指摘している。アマゾンは、欧州委の判断に異議を申し立てることを検討している。またルクセンブルクも同委の判断を拒否し、法的措置を検討する方針。
なお、アマゾンは2015年5月から税務手法を変更し、英国、ドイツ、イタリア、スペインの4カ国での事業利益をルクセンブルクに移転せず各国内で計上している。
■アップルからの税回収めぐり愛政府を提訴
欧州委はこの日、アイルランドが米アップルからの未払い税追徴を怠ったとして、欧州司法裁に提訴した。べステアー委員は今回、「欧州委がEU法違反の判断を下してから1年以上が経つが、未払い税はまだ回収できておらず、アイルランドはその努力もしていない」と指摘している。
欧州委は2016年8月、アイルランドの同社に対する税制優遇がEUの国家補助法に違反するとして、未払い税130億ユーロの追徴を同国に命令。アップルと同国政府はこれに異議を申し立てていた。アイルランド政府は欧州委の今回の措置について「極めて残念だ」とコメントしている。[EU規制]
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