金融情報サービス会社IHSマークイットは2日、9月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が58.1ポイントになったと発表した。速報値から0.1ポイント下方修正されたものの、前月からは0.7ポイント上昇。過去79カ月で最高を記録した。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを51カ月連続で超えている。
調査対象の8カ国のうち、オランダは60ポイントと過去79カ月で最高に達した。ギリシャは52.8ポイントで、過去9年超で最高の水準に躍進。スペインは54.3ポイントに上昇した。一方、オーストリアは59.4ポイント、アイルランドは55.4ポイントに低下。イタリアは56.3ポイントで変化がなかった。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは60.6ポイント。速報値から変化がなく、前月から1.3ポイント上昇し、2011年4月以降で最高を記録した。受注は6月以降で最も拡大し、輸出向け受注は特にアジアからの需要が目立った。生産高と雇用も引き続き加速している。
フランスは56.1ポイントで、8月を0.3ポイント上回り、こちらも2011年4月以降で最高に達した。新規受注と輸出向け受注は前月の高水準からやや減速したが、生産高の伸びは過去6年半弱で最高。雇用ペースは、過去17年近くで最高を記録した7月の水準に迫った。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高は過去6年半弱で最も増加し、新規受注の伸びも過去76カ月で最高を記録した6月とほぼ同水準だった。雇用はユーロ圏PMIの統計を開始した1997年6月以降で最も拡大した。仕入れ価格と出荷価格の上昇ペースは共に、過去5カ月で最も加速している。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席エコノミストは、ユーロ圏製造業の回復はますます広い範囲で見られ、全域で需要が増加したと指摘。特にギリシャの大幅な改善に喜びを表した。また、単一通貨ユーロの上昇は輸出にほとんど影響を与えておらず、内需も全体的に改善したとみる。これらに加え、インフレ圧力が増していることから、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和策の一部縮小を決めるとの見方が強まると分析している。
■英国は予想上回る低下
IHSマークイットによると、9月の英国の製造業PMIは55.9ポイント。仕入れ価格の高騰に加え、生産高と新規受注が共に減速し、過去4カ月で最高を記録した8月から0.8ポイント低下した。分岐点の50ポイントを14カ月連続で超えたが、落ち込み幅は市場予想を上回っている。
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