ロンドン地下鉄(LU)のパーソンズグリーン駅で15日午前8時20分ごろ(現地時間)、車両内に置かれた爆弾が爆発し、乗客30人がけがを負った。避難する通勤者らで現場は騒然となり、同駅を通る南西部の路線が一時運行停止する事態となった。警察はテロ行為とみて捜査を進めており、17日までに男2人が逮捕されている。BBC電子版などが伝えた。
現場では、スーパーの買い物袋に入れられた手製爆弾とみられる白いバケツが見つかった。ワイヤーがはみ出ており、タイマーが設定されていた。けが人には、爆弾でやけどを負った人のほか、避難時のパニックで押し倒された人も含まれるが、いずれも命に別状はないという。なお車両自体に損傷は見られなかった。
事件に絡み、これまでに18歳と21歳の男が逮捕されている。英国のテロ警戒レベルは事件当日の夜、5段階で最上位の「クリティカル(危機的)」に引き上げられたが、2人目の容疑者が逮捕された後、上から2番目の「シビア(深刻)」に戻された。なお事件を巡って、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出したが、ラッド内相は同組織が関与したとの証拠はないと説明。一方で、テロ対策に2,400万ポンドを追加拠出する方針を示した。
今回を含め、英国では今年に入って5回の攻撃が発生。ウェストミンスター宮殿(国会議事堂)付近で起きた3月のテロ事件では犯人含む5人が死亡。5月にマンチェスターで起きた自爆テロでは、少なくとも22人が死亡し、60人近くが負傷した。6月にはロンドン中心部のロンドンブリッジで、バンが歩行者をはねた後、3人の男が人気食材市場バラ・マーケットにあるバーで客を刺す事件が発生。8人が死亡し、48人が負傷している。同月にはロンドン北部のフィンズベリーパーク(Finsbury Park)でワゴン車が歩道にいたイスラム教徒らに突っ込み、少なくとも1人が死亡、10人が負傷した。
通勤時間帯を狙った犯行としては、2005年7月に地下鉄3カ所、バス1カ所で同時爆破テロが発生。イスラム過激派によるもので、52人が亡くなっている。
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