英国離脱を機にEU改革加速を ユンケル委員長の一般教書演説

欧州委員会のユンケル委員長は13日、欧州議会で一般教書演説を行い、英国の欧州連合(EU)離脱を機にEUの改革を進める方針を示した。単一通貨ユーロの採用国や人の自由な行き来を約束するシェンゲン協定の加盟国を拡大する必要性を訴えている。併せて、域外の国有企業による域内企業買収を規制することを提案。ドイツやフランスの意向をくんだ措置で、中国を想定しているとみられる。

同委員長は、「ユーロは選ばれた一部の国の通貨ではなく、EU全体の単一通貨となるべきもの」と指摘。西欧諸国を中心としたユーロ採用国と、非ユーロ圏の中東欧諸国との分断は避けるべきと話した。このため、マクロン仏大統領が提案したユーロ圏向け予算枠の設定も拒否している。また、「EU域外との国境警備を強化するためには、ブルガリアやルーマニアのシェンゲン協定加盟を認めるべき」と訴えた。両国はかねてシェンゲン協定加盟を目指しているが、他の一部加盟国の反対で実現していない。

ユンケル委員長はこのほか、税制改革をめぐる財務相会合レベルでの加盟国の拒否権を廃止し、全会一致でなくても税制変更を承認できるようにする方針も示した。ただ、EU首脳会議(サミット)での各加盟国の拒否権は維持する。実現すれば、米オンライン販売大手アマゾンやインターネット検索エンジン大手グーグルなどへの課税額引き上げが促される見通し。

またEUの制度面では、欧州委員長と欧州理事会議長(EU大統領)を統合することや、EUの経済・財務相を新設する案も提示した。

同委員長は、「欧州経済はようやく危機から立ち直りつつある」と指摘。ブレグジットについても「悲劇的瞬間ではあるが、これで全てが終わるわけではない」とした上で、「われわれには今、チャンスの窓が開かれている」と話した。ただ「この窓は永遠に開いているわけではなく、この機を最大限に生かす必要がある」と強調し、早急にEU改革を進める必要性を訴えている。

■中国企業による域内企業買収を規制へ

ユンケル委員長はこの日の演説で、EU域外の国有企業が域内のインフラ、ハイテク、エネルギー企業などを買収しようとした場合に、EUレベルでこれを審査する枠組みを新設することを提案した。独仏伊の主要3カ国はこれを歓迎する共同声明を出している。

マクロン仏大統領は6月、戦略的分野に対する外国投資の審査制度を策定するよう欧州委に求めていた。また、ドイツでも中国の家電大手、美的集団(ミデア)による独産業ロボット大手クーカ(KUKA)の買収を機に、中国への技術流出を懸念する議論が巻き起こっており、同国は7月、EUで初めて外国企業による国内企業買収の規制に踏み切っている。[EU規制]


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