世界最大の自動車見本市、フランクフルト国際モーターショー(IAA)が14日に開幕する。欧州新車市場が5年連続で伸び続ける中、世界各国から約1,000社が出展。人気のスポーツタイプ多目的車(SUV)を中心に計228車種が初公開される。一方で、足元ドイツの自動車産業を揺るがす排ガス不正問題を背景に、各社が注力する電気自動車(EV)の新モデルにも注目が集まっている。
フランクフルト国際モーターショーは独自動車工業会(VDA)が2年に1度開催。前回2015年には93万2,000人が会場を訪れた。今年は14日からプレス向け、16日から一般に公開され、メルケル首相が開会式典に出席する。会期は24日まで。
SUVでは、独高級車大手BMWが同社のSUVとしては最も大型となる「X7」のコンセプトカーを披露。来年の発売を予定し、ハイブリッド車(HV)も提供する。独フォルクスワーゲン(VW)は小型SUVの「T―ROC」を発表。同社のスペイン子会社セアトとチェコ子会社シュコダは、それぞれ小型クロスオーバーSUVの「アローナ(Arona)」と「カロック(Kaloq)」を披露する。
■EVで各社が競演
今年のもう1つの目玉は、各社が取り組みを本格化させているEVだ。BMWは、2019年の発売を予定する小型車「ミニ」の初のEV版を公開。同社は先に、2020年までにEVの本格的な量産体制に入る方針を打ち出している。またVWは、同社初のEV限定モデルで自動運転技術も搭載したクロスオーバーSUVコンセプトカー「I.D. CROZZ」の改良版を披露する。同社は2025年までにEVの新型車80モデルを発売するとしている。
一方、独ダイムラーの高級車部門メルセデス・ベンツは、超高級モデル「AMG」のHV版「AMGプロジェクト・ワン」をお披露目。1,000馬力で最高時速350キロメートル超のスーパーカーは価格も230万ユーロと最高水準ながら、既に初回生産台数の275台は売り切れているという。このほか、EVブランド「EQ」のコンパクトカーや、同社初のプラグイン型燃料電池車(FCV)となるSUV「GLC F―CELL」も披露する。
■テスラなど大手数社が欠席
EVで今年、最も大きな注目を集めたモデルといえば、米EV大手テスラの「モデル3」だが、同社は今回のショーに出展しない。今年は他にも伊フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)や、日産自動車、仏グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)、中国の自動車大手、浙江吉利控股集団傘下の高級車メーカー、ボルボ・カー・コーポレーション(ボルボ・カーズ、スウェーデン)など、自動車大手の欠席も目立つ。
自動車メーカーの間では最近、数百万ドルのコストがかかる自動車ショーを敬遠し、独自の新モデル発表会を企画したり、毎年1月に米ラスベガスで開かれる世界最大級の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」に出展する動きが高まっている。[環境ニュース][日本企業の動向]
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