英商工会議所(BCC)とドイツ商工会議所連合会(DIHK)は28日、英国の欧州連合(EU)離脱交渉で、双方が共有する経済的関心に注力すべきとの共同声明を発表した。欧州全域における事業環境の先行き不透明感を払しょくするため、相互を信頼し、建設的な交渉を進めるよう呼び掛けている。
ブリュッセルではこの日、両者間の第3回目の交渉が開始された。EUはかねて、英国在住のEU市民と在EUの英国民の権利問題やEU拠出金の清算問題、英・アイルランド間の国境問題といった前提となる離脱条件の交渉に進展が見られない限り、貿易交渉には着手しない姿勢を示している。こうした中、両国の商工会議所は、労働者の権利のほか、税金手続き、関税といった事業運営に深刻な影響を及ぼす実務的な問題が山積していると指摘。中でも関税問題については、早急な交渉妥結が必要だと訴えている。
ドイツでは、英国で事業を展開する独企業の景況感が悪化。ヒトとモノの自由な移動が制限されることや、新たな規制の導入が事業に悪影響を及ぼすことを危惧(きぐ)しており、既に対英投資の見送りを決めた企業も少なくないという。一方、英国で先に実施された意識調査では、回答企業の68%がブレグジット後の急激な変化を避けるため少なくとも3年間の移行期間を設けるべきとの考えを示した。また、両国の企業とも、ブレグジット交渉の早い段階で最終的な着地点を把握したいと回答している。
英国はドイツにとって3番目の輸出先国。また、独企業は英国におよそ2,500社の支社を設け、40万人近くを雇用している。一方、ドイツは英国にとって2番目の輸出先。英企業のドイツ支社は約1,200社で、従業員数は22万人に上る。[EU規制][労務]
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