独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は8日、旧型のディーゼル車からの買い替え客を対象に、新車を最大1万ユーロ値引きすると発表した。大気汚染の低減に貢献する計画の一環で、都市部でのディーゼル車乗り入れ禁止策の導入を回避する狙い。併せて、電気自動車(EV)にも1台当たり2,380ユーロの購入補助を行うとしている。いずれも、今年末までの期間限定で実施する。
VWは、欧州連合(EU)の旧排ガス基準「ユーロ4」以前のディーゼル車を廃車にすることを条件に、現行基準「ユーロ6」に準拠した新車を値引きする。値引き額はモデルによって異なり、VWブランドではコンパクトカー「up!(アップ)」が1台当たり2,000ユーロ、人気モデル「ゴルフ」が5,000ユーロ、スポーツタイプ多目的車(SUV)「トゥアレグ」が最高の1万ユーロなど。高級車ブランドのアウディの値引き額は3,000~1万ユーロで、いずれもドイツ国内の買い替え客が対象。一方、ポルシェは欧州全域で5,000ユーロの値引きを行う。
またこれとは別に、VWブランドのEVの購入者には1台当たり2,380ユーロ、ハイブリッド車(HV)では1台当たり1,785ユーロ、天然ガス車では1台当たり1,000ユーロの補助を行う。これらは、独政府が昨年5月に導入したEVなどの購入支援に追加で行われる。またアウディは、政府の購入支援策への拠出金を最大で倍増する。
VWとダイムラー、BMW、仏グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)傘下のオペルの国内自動車大手4社は先に、「ユーロ5」と「ユーロ6」に準拠したディーゼル車の大部分を対象に、大気汚染物質の排出量を減らすためのソフトウエア修正を無料で施すことで政府と合意した。これにより、窒素酸化物(NOx)の排出量を平均25~30%低減できると見込んでいる。VWの今回の措置は、この無料修理と併せて実施される。
ドイツではミュンヘン市やシュツットガルト市など一部都市が、大気汚染の深刻化を背景にディーゼル車の締め出しを検討している。自動車業界には、汚染物質排出量の低減に向けた無料修理や低排出車の購入支援に取り組むことにより、こうした措置を回避したい思惑がある。[環境ニュース][EU規制]
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