ポーランドのドゥダ大統領は24日、政府が進める司法制度改革の3法案のうち、2法案に拒否権を発動すると発表した。政府による司法統制を認めるこれらの法案をめぐっては、全国で大規模な抗議デモが展開されていた。与党・法と正義(PiS)に属する同大統領は全3法案を支持するとみられていただけに、予想外の展開となった。
ドゥダ大統領が拒否権を発動したのは、最高裁判所の全判事を強制的に退職させ、司法相が新たに任命できるようにする法案と、最高裁判事の人事を司る全国司法評議会の委員任命権を政府に付与する法案。いずれも既に上下院を通過し、同大統領の署名による成立が見込まれていたが、拒否権発動により下院に差し戻されることとなった。
同大統領は「大統領として、これらの法案が正義感を強めるとは思えない」とした上で、「これらの法案には修正が必要」と話した。ただ、下級裁判所の裁判官の人事権を司法相に与える第3の法案については、承認する方針を示している。
司法制度改革を巡っては、欧州連合(EU)も法の支配の原則に反する恐れがあると警告していた。欧州委員会は新法案の施行を一時停止し、同委のティメルマンス第1副委員長と協議するようポーランドに要請。加盟国の資格停止について定めたEU条約第7条の適用も視野に入れているとしていた。
PiSは2015年10月の総選挙で政権を奪還した後、憲法裁やメディアに対する権限を強化している。フィナンシャルタイムズによると、最大野党・ポーランドの市民プラットフォーム(PO)の議員は、ドゥダ大統領の今回の判断について「できれば全3法案に拒否権を発動して欲しいところだが、今日は大統領を批判するべき日ではない」と歓迎の意を表した。[EU規制]
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