独自動車大手5社が過去20年にわたり結んできた技術カルテルが、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題につながった――。週刊誌シュピーゲルが21日、こうした内容の記事を掲載した。ダイムラーと高級車BMW、VWとその高級車部門アウディおよび高級スポーツカー部門ポルシェは、排ガス処理技術の利用を制限することで密かに合意していたとみられ、独競争当局と欧州委員会はこの件で、これら5社に対する調査を開始したとしている。
シュピーゲルによると、5社は国外の競合に対抗するため、1990年代から新車開発やコスト、サプライヤー、市場など広範に及ぶ相互調整を行ってきた。その中で、新車に搭載する技術についても話し合いが行われ、排ガス処理に必要な化学物質の使用量を制限することで合意したという。この化学物質は尿素水「アドブルー(AdBlue)」で、ディーゼルエンジンの排出する窒素酸化物(NOx)を処理するもの。当初は走行距離3万キロ分の35リットル入りタンクを搭載しているメーカーもあったが、2006年にコストおよびスペース上の理由から、各社ともタンク容量を8リットルに制限することで合意が成立した。このため、検査時に浄化機能を最大にし、走行時は機能を抑える方法が生まれた可能性が指摘されている。
この問題は、独競争当局が昨年、別の鉄鋼カルテル疑惑をめぐりVWのオフィスを家宅捜索した際に偶然に発覚したという。独競争当局は家宅捜索については認めているが、コメントを辞退している。一方、ロイター通信によると、欧州委員会は22日、カルテルの可能性について通報を受けたと明らかにした。
BMWは23日、この疑惑を全面的に否定するコメントを発表。欧州連合(EU)の排ガス基準「ユーロ6」に適合した同社のディーゼル車は、NOx貯蔵触媒コンバーターも搭載しているため、「アドブルー」のタンクを縮小しても問題はなかったと反論している。他の4社はコメントを発表していない。[環境ニュース][EU規制]
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