ドイツ連邦議会(下院)は6月30日、ヘイトスピーチなどの投稿を削除しない場合に、米フェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に最大5,000万ユーロの罰金を科すなどの内容を盛り込んだ法案を承認した。9月24日に総選挙を控え、こうした書き込みが世論に与える影響を排除するための措置で、インターネット上のヘイトスピーチを巡る明確な法的ガイドラインが導入されるのは欧州初となる。
同法案はSNSに対し、明らかに犯罪性のある書き込みを24時間以内に削除またはブロックするよう要請するもの。違法性が定かではないケースについては、対応に7日間の猶予を付与し、いずれの場合も通知者に対策措置を報告するよう義務付ける。また罰金対象となった企業のドイツ事業トップにも最大500万ユーロの制裁金を科す。
ただ、デジタル企業や報道関係者などの業界団体や消費者団体は、言論の自由を脅かす恐れがある中、政府が議会の承認を推し進めたと非難。これを受け政府は、電子メールやメッセンジャーを提供する企業は除外する措置を盛り込んだほか、法律の運用を共同で監視する機関の設置案を検討する姿勢を見せている。
ドイツは中傷、犯罪扇動、暴力の脅しなどを含むヘイトスピーチに対する規制で、世界で最も厳格な国の1つとされる。ホロコーストの否定やマイノリティーへの憎悪をあおる行為には禁固刑も科す。
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