ドイツで20日、「空飛ぶ電動タクシー」の無人試験飛行が成功した。垂直離着陸機(VTOL)の開発に取り組むスタートアップ企業のリリウム(Lilium)が手掛けたもので、2020年に生産を開始する予定。
VTOLはヘリコプターと同様、垂直に離着陸できるため滑走路が不要だが、回転翼を用いないため上空ではヘリコプターより高速で飛行できる利点がある。今回、試験飛行を行ったのは2人乗りの電動VTOL「リリウム・ジェット」のプロトタイプ。垂直離陸後に空中で前進飛行モードに切り替えるなどの複雑な操作をスムーズにこなした。
リリウムは今後、5人乗りの電動VTOLを開発し、2019年に有人飛行試験を実施、2025年には「空飛ぶタクシー」として実用化する計画。実現すれば最高飛行速度は時速300キロメートルに達し、通常のタクシーでは平均55分かかる米ニューヨークのマンハッタンからジョン・F・ケネディ国際空港までを5分で移動できるという。米配車大手ウーバー(Uber)と同様、スマートフォンのアプリを通じて配車を行うビジネスモデルを想定している。
リリウムは2015年、スイス・スウェーデン資本のエンジニアリング大手ABB出身のエンジニア、ダニエル・ウィーガント氏が、ミュンヘン工科大学の同窓生3人と共同で設立。出資者には米マイクロソフト(MS)傘下のIP(インターネットプロトコル)電話大手スカイプ(ルクセンブルク)の創業者ニクラス・ゼンストローム氏も名を連ねる。
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