仏通信大手オレンジ(旧フランステレコム)は20日、7月6日にオンライン銀行「オレンジ・バンク」を開始すると発表した。携帯電話に特化した口座で、専用アプリを通じて送金や残高確認、問い合わせなどのサービスが利用できる。
口座はインターネットか特定のオレンジ店舗で開設でき、手数料はかからない。アプリを通じた非接触型決済やテキストメッセージを使った送金に加え、デビットカードでの支払いも可能。また、米コンピューター大手IBMの機械学習プラットフォーム「ワトソン(Watson)」をカスタマーサービスに導入し、24時間の対応を実現した。将来的には融資や保険といったサービスも視野に入れているという。
オレンジは2008年にアフリカでモバイルバンキングサービス「オレンジ・マネー」を開始し、ポーランドでも「オレンジ・フィナンセ」を展開。昨年に仏保険大手グルパマ(Groupama)の銀行部門グルパマ・バンクを買収し、足元フランスでの進出を狙っていた。同社は2018年度のオレンジ・バンクの売り上げ目標を4億ユーロに設定したほか、10年以内に200万件の顧客ベースを目指すとしている。
フランスのオンラインバンキング市場では、オランダの金融大手INGグループのINGダイレクトや仏ソシエテジェネラル傘下のブルソラマ(Boursorama)、クレディ・ミュチュエル・アルケア(Credit Mutuel Arkea)の子会社フォルチュネオ(Fortuneo)が圧倒的なシェアを握る。先には仏小売大手カルフールの金融子会社カルフール・バンクがデジタル当座預金口座サービス「セザム(C-zam)」を開始しており、さらなる競争激化が予想される。
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