ポーランドの下院(定数460)は7日、内閣不信任案を238対174の反対多数で否決した。ワルシャワ・ボイスなどが伝えた。
今回の内閣不信任投票は、最大野党の中道右派・市民プラットフォーム(PO)が3月24日に提出。与党の右派・法と正義(PiS)が単独で議会の過半数を占めていることから、可決される見通しは低かったものの、POは不信任投票を求めた理由について、これに向けた討論などで「PiSによる過去17カ月間に打ち出された有害な政策」を暴露することが狙いと説明している。
ポーランドでは、PiSが2015年10月の総選挙で政権を奪還した後、憲法裁やメディアに対する権限を強化しており、これが懸念材料となっている。欧州委は昨年6月、ポーランド政府による憲法裁判所の判事任命への介入や、憲法裁の権限を縮小する法律の導入を欧州連合 (EU)の基本的価値観である法の支配の原則に反する恐れがあるとして是正に向けた意見書を同国に送付。政府は法改正を余儀なくされた。また昨年12月には、PiSが下院に出入りする報道関係者を制限し、国会中継も限られたテレビ局にのみ認めるとする法案を提出。これに野党側が反対して議場を占拠したことから、今年1月にこれを白紙撤回した経緯がある。
PiSはEUによる加盟国への難民受け入れの割当に反対しているほか、ロシアに対しては強硬路線を主張。社会的にはカトリックに基づく保守的価値観を重視する。これまでに政府の国民監視を強化する改正法や、人口妊娠中絶の禁止案などを成立させている。[EU規制]
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