ドイツ政府は5日、ヘイトスピーチなどの投稿を削除しない場合に、米フェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に最大5,000万ユーロの罰金を科すなどの内容を盛り込んだ法案を閣議承認した。9月に総選挙を控え、こうした書き込みが世論に与える影響を排除するための措置で、選挙前の法案可決を目指す。実現すれば、ヘイトスピーチをめぐる明確な法的ガイドラインが導入されるのは欧州初となる。
法案はSNSに対し、明らかに犯罪性のある書き込みを24時間以内に削除またはブロックするよう要請。違法性が定かではないケースについては、対応に7日間の猶予を付与。いずれも通知者に対策措置を報告するよう義務付ける。また罰金対象となった企業のドイツ事業トップにも最大500万ユーロの制裁金を科す。
法務・消費者保護省によると、ヘイトスピーチをめぐるSNS各社の対応はまちまちで、ツイッターはほとんど削除しないのに対し、フェイスブックは約5割を、米インターネット検索エンジン大手グーグル傘下の動画視聴サイト「ユーチューブ(YouTube)」は約9割をそれぞれ削除している。
ドイツは中傷、犯罪扇動、暴力の脅しなどを含むヘイトスピーチに対する規制で、世界で最も厳格な国の1つとされる。ホロコーストの否定やマイノリティーへの憎悪をあおる行為には禁固刑も科す。
マース法務・消費者保護相は、こうした規制を欧州レベルで導入したいと意欲を示した。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。