ポーランドのシドゥウォ首相は23日、英国離脱後の欧州連合(EU)の進路に関して25日に発表するローマ宣言について、内容によっては署名を拒否する考えを示した。宣言の中で統合深化のスピードの多様化を認めれば、中東欧諸国がEU内の二流国になるとの懸念がある。ロイター通信などが伝えた。
25日には、EU創設の出発点となったローマ条約の調印60周年を記念する式典と併せて、EUの特別首脳会議が開催される。そこでは先に欧州委員会のユンケル委員長が示した今後のEUの進路が話し合われ、ローマ宣言として発表される。ドイツやフランスなど西欧諸国や欧州委は、EU内の意思決定を迅速化するため、特定分野について合意できる一部の国だけで統合を加速させるという統合のスピードを多様化する案を支持している。
これについてシドゥウォ首相は、「EUはうまく機能しない点を是正するため変革が必要だが、それは統合スピードの多様化では達成されない」として、多様な統合スピードにより不透明感が増して各国の協力が混乱に陥ると主張。これがローマ宣言に盛り込まれれば、宣言に署名しない方針を示した。
ただ外交筋によれば、宣言の文言はポーランド政府が受け入れやすい内容まで軟化しており、最終段階での受け入れ拒否の可能性は低いという。すでにポーランド政府は宣言の内容を承認しているとされ、シドゥウォ首相の発言は外交的勝利を主張するための国内向けとの見方が出ている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。