スペイン北部とフランス南西部にまたがるバスク地方の分離独立を目指す「バスク祖国と自由(ETA)」が、4月8日までに完全に武装解除するもようだ。バスク自治州政府首班のイニゴ・ウルクリュ氏の話として、AFP通信などが伝えた。
ETAは2011年10月に武装闘争の完全終結を宣言していたが、武装解除はしていなかった。ウルクリュ氏は仏西政府に対し、ETAとの会談に向けた協力を要請。両国の刑務所に収容されているETAメンバーは約350人に上り、ETAは今回、武装解除の見返りとしてメンバーの恩赦もしくは刑期軽減を求めているという。一方、スペインのソイド内相は政府の見解として、「ETAがすべきことは武装解除と解散、被害者への謝罪だ。政府はいかなる取引も行わない」と主張している。
ETAは1950年代後半に結成。1973年にはETAとの闘争を宣言したルイス・カレロ・ブランコ首相(当時)を殺害。40年以上にわたる争いで800人を超える死者を出し、スペイン政府、欧州連合(EU)および米政府によってテロ組織に指定されている。しかし近年はメンバーの逮捕などにより弱体化し、2010年3月以降は死者を出す事件は起こしていない。
スペインメディアの間では、最近押収された武器が極めて少ないことから、ETAは現時点でほとんど武器を持っておらず武装解除は形式的との見方が強い。
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