ドイツ南部のバイエルン州政府は21日、イスラム教徒の女性が着用する「ブルカ」や「ニカブ」など顔全体を覆うベールについて、公共の場での着用を禁止する法案を公表した。
同法案は、公共サービスの場や学校・幼稚園、治安に関わる分野、投票所で顔を覆うことを禁止する内容。同州のヘルマン内相は、イスラム女性が顔を覆うことは「当地のコミュニケーション文化に反する」と指摘。顔の表情やジェスチャーを含めたコミュニケーションは社会と自由で民主主義的な秩序の土台と説明した。
同相は、同法案が夏季休暇までに州議会で承認されると見込んでいる。バイエルン州議会ではキリスト教社会同盟(CSU)が単独過半数を占める。同党はメルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党。
ブルカなどの着用をめぐっては、メルケル首相も昨年12月に「規制が可能な限り禁止すべき」との姿勢を打ち出している。9月に総選挙を控えるドイツでは、ユーロ圏解体と反難民を訴える「ドイツのための選択肢(AfD)」が支持率を伸ばしており、ブルカ着用禁止の動きにはこれをけん制する狙いもある。
なお、欧州ではフランスやベルギーが既に公共の場でのブルカ着用を禁じているほか、昨年12月にはオランダで同様の法案が可決。オーストリア政府も現在、こうした法案を検討している。
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