イタリアのレンツィ前首相は19日に開かれた与党・民主党の臨時党大会で、書記長(党首)を辞任した。今後1年以内の実施が見込まれる総選挙を前に党内分裂の様相を呈する中で、4月か5月にも党首選を行い再起を図ることで、党内の反対勢力を押さえ込みたい考え。フィナンシャルタイムズなどが伝えた。
レンツィ前首相は昨年12月に行われた国民投票で、上院の権限縮小に向けた憲法改正案が否決されたことを受け、引責辞任した。今回の党大会では、国民投票での敗北への責任をあらためて認めた上で、「国民投票は国全体にとって大きな痛手となった。経済システムを手始めに、われわれは軌道修正しなければならない」と述べた。また党内の分裂は他党を利するだけだとけん制。かねて2018年2月に予定される次期総選挙を、今年6月か9月に繰り上げ実施するよう訴えていたが、この日はこうした主張は行わず、ジェンティローニ首相とその政権を支えるよう訴えた。
レンツィ前首相の反対勢力には、ロッシ・トスカーナ州知事、エミリアーノ・プーリア州知事などが名を連ね、後者は党首選に出馬するとみられている。
なお、伊紙コリエーレ・デラ・セラが調査会社イプソスに委託した最新の政党支持率調査では、欧州連合(EU)懐疑派の新興政党「五つ星運動」が30.9%で首位に立ったものの、民主党は30.1%とほぼ互角。中道右派のフォルツァ・イタリアは13%、移民や欧州単一通貨ユーロに反対する北部同盟は12.8%だった。
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