4月23日にフランス大統領選の第1回投票を控える中、かつての最有力候補に出馬辞退の圧力がかかっている。ラジオ局フランス・アンフォが10日公表した世論調査によると、国民の10人に7人が中道右派候補のフィヨン元首相(62)の出馬断念を求めている。妻への不正給与支払い疑惑が大きな痛手となっている。
調査は8~9日、18歳以上の成人1,001人を対象に、仏世論調査会社オドクサ(Odoxa)がオンラインで実施。これに先立つ6日、フィヨン氏はスキャンダル発覚から2週間の沈黙を破り、税金が妻への支払いに使われたことを記者会見で謝罪し、違法ではないと強調していた。これについて、79%は「納得していない」と回答。フィヨン氏への評価が低い人は74%で、右派の支持者でも53%に上った。また全体の半数は、同氏の代わりに中道右派の予備選で同氏の対抗馬だったジュぺ元首相を立てるよう求めている。
仏週刊紙カナール・アンシェネは1月25日、フィヨン氏の妻が1992~2002年に、フィヨン議員の秘書給与として仏議会が確保した予算から計50万ユーロを受け取っていたと報道。議員が家族を雇用して給与を支払うことは違法ではないが、夫と働いているところを見たという証言はないと伝えていた。
なおフィヨン氏の弁護士は9日、この件での捜査を中止するよう金融検察局(PNF)に要求。また、この日仏紙ルモンドに掲載されたインタビューで、フィヨン氏はまだ勝算はあるとし、今後2週間が選挙戦の山場になると述べた。また自分が選挙戦から降りることで、無所属候補のマクロン前経済・産業・デジタル相に票が流れ、極右政党・国民戦線のルペン党首に勝利できるという見方は間違っていると警告。反対にルペン氏に票が流れるとしている。
■マクロン氏、人気ダントツ
9日に公表された仏経済紙レゼコーとラジオ・クラシークによる世論調査では、人物評価でマクロン氏が43%とトップに立った。2位はジュぺ元首相で39%、中道左派候補のアモン前国民教育相は37%で3位に付けた。フィヨン氏は18位(22%)と前回の3位から劇的に後退。ルペン氏の支持率は1ポイント低下し28%だった。
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