英国で2016年に発生した反ユダヤ主義によるヘイトクライム(憎悪犯罪)は1,309件となり、過去最多だった2014年の1,182件を上回った。2015年からは36%増加している。英国のユダヤ人保護団体コミュニティ・セキュリティー・トラスト(CST)が明らかにした。
報告されたヘイトクライムの4分の3以上は、大規模なユダヤ人コミュニティーがあるグレーターロンドンとグレーターマンチェスターに集中している。大半は、暴言、メールやソーシャルメディア上での中傷、反ユダヤ的な落書き、ユダヤ関連物件を標的とした器物損壊、暴力行為などである。
CSTによると、欧州連合(EU)離脱の是非をめぐる国民投票を控えていた昨年5月以降、毎月100件以上のヘイトクライムが報告されており、同団体は反ユダヤ主義を含む人種差別や外国人嫌悪が表面化しているとみている。
こうした事態を受け、アンバー・ラッド内相は昨年7月、ヘイトクライムに対する行動計画を策定。偏見の実態把握に加え、インターネット、公共交通機関などでのヘイトクライム対策に乗り出した。さらに、ユダヤ人が居住する地域の治安強化に1,340万ポンドを投じる方針だ。
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