イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」がオンライン上の「ヘッドハンター」を用い、ドイツの若者を勧誘している――。連邦憲法擁護庁のマーセン長官の話として、ロイター通信が19日伝えた。
ソーシャルメディアやインスタント・メッセージング・サイトを通じて誘われる若者の中には、まだ10代前半の少年少女も含まれる。昨年2月にハノーバーの鉄道駅で警察官を刃物で襲い、重傷を負わせたモロッコ系の16歳少女もそうした若者の1人。また12月にも、西部ルートウィヒスハーフェン(Ludwigshafen)でイラク系の12歳の少年による爆破未遂事件が起きている。国内で勧誘されイラクやシリアに渡った人物は900人いるとみられ、うち約2割は女性という。
マーセン長官は、ソーシャルメディアでは偏った情報だけが飛び交う「エコー・チェンバー」現象が起きており、これが若者を過激派に引き込んでいると説明。欧州の情報機関はISそのものに加え、こうしたオンライン上の脅威にさらされている一般市民の監視も行っていると述べた。
当局は治安上の脅威と見なすイスラム過激派の548人を監視対象としているが、ドイツの法律の下では具体的な犯罪行為がない限り逮捕することはできない。昨年12月にベルリンの屋外市場に大型トラックが突っ込み、少なくとも12人が死亡した事件でも、当局は犯人のチュニジア人男性を監視していたものの、事件前の拘束には至らなかった。
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