欧州航空機大手エアバスは、自動運転で動く「空飛ぶ自動車」の試作機を年内にテストする方針だ。都市部の道路渋滞を解消するため、空を活用した次世代交通システムの開発を目指している。トム・エンダース最高経営責任者(CEO)の話として、ロイター通信が伝えた。
エアバスは昨年、個人輸送機や複数の人を運べるヘリコプター式の乗り物などの開発をコンセプトとする「アーバン・エアー・モビリティー」部門を設立。2030年までに世界人口の約6割が都市部で生活するとの予想の下、飛行型の1人乗り輸送機「ヴァーハナ(Vahana)」の開発プロジェクトや上空に交通網を張り巡らす「スカイウェイ・プロジェクト」などの研究を進めている。
「ヴァーハナ」は、シリコンバレーに拠点を置くエアバス傘下の「A3(Aキューブド)」が昨年初めに開発に着手。滑走路を必要とせず、障害物の回避も自動で行える。同社は2017年末までに試作機を飛行させ、2020年までに商用生産モデルを完成させるとしており、エンダースCEOの発言は「ヴァーハナ」を指しているとみられる。
エンダースCEOは、「100年前、都市交通は地下に向かった。われわれは今、地面を飛び立つ技術を持っている」とコメント。こうした技術は大気汚染に歯止めをかけることにつながり、空を活用することで都市インフラのコストも削減できると指摘した。
「空飛ぶ自動車」をめぐっては、米検索エンジン大手グーグルの創業者ラリー・ペイジ氏が新興企業2社に数百万ドルを投資したほか、中国のドローン大手イーハン(EHang)も試作機のデザインを公開している。[環境ニュース]
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