イタリアのマッタレッラ大統領は5日夕、上院の権限縮小をめぐる改憲案が国民投票で否決されたことを受けて辞意を表明したレンツィ首相に対し、来年度予算案の成立まで残留するよう要請した。法案は既に下院を通過しており、早ければ週内にも承認される見込み。
国民投票は4日に実施され、レンツィ首相は否決されれば辞任すると宣言していた。最終的な投票結果は改憲への支持が40.9%、反対が59.1%と大きく差が開き、同首相は5日中にマッタレッラ大統領に辞意を伝えていた。
イタリアは銀行危機など喫緊の課題に直面しており、マッタレッラ大統領は暫定政権の樹立を目指すとみられる。レンツィ首相の後任には、パドアン経済財務相やグラッソ上院議長の名前が挙がっている。新政権は、上下両院の信任投票を経て発足する。政府はその後、2018年春に予定されていた総選挙を前倒しして実施する方針で、早ければ来年2月となる見通し。
財務状況が悪化している伊3位の金融機関バンカ・モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(BMPS)は現在、50億ユーロの増資を計画しているが、国民投票が否決されたことにより投資家の決定に影響を及ぼすとの懸念も出ている。
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