欧州刑事警察機構(ユーロポール)は2日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、欧州でテロ攻撃を加速させる可能性が高いと警告した。今回の発表は、ユーロポールの1部門として今年初めに発足した欧州テロ対策センター(ECTC)がまとめた最新の報告書をふまえたもの。
ISに対しては現在、イラク軍などが、ISのイラク最大の拠点モスル(Mosul)の解放を目指す軍事作戦を進行。また、シリアでもISが首都と称するラッカ(Raqqa)の奪還に向け、米軍の支援を受けたクルド人やアラブ人の合同部隊のシリア民主軍(SDF)が軍事作戦を展開している。ECTCは、こうした作戦で敗色が濃厚となってきたISが、外国人戦闘員を出身国に帰還させ、各地でテロ攻撃を加速させるよう指示している可能性が高いと分析し、欧州各国に注意を促している。対象国は、IS掃討作戦に参加している全ての国が含まれているが、とくにフランスやベルギー、オランダ、ドイツ、英国で警戒が必要としている。
手口としては、原子力発電所などの特定のインフラを狙ったテロではなく、フランスやベルギーで発生した一般市民を狙った同時多発テロとなる確率が高いと予想。また、ISが常套手段としている自爆テロや誘拐などが各地で展開される可能性があるとみる。この背景には、同時多発テロの影響は政治や経済にも及んでおり、効果が高いとみられていることや、使用経験のある銃器や爆発物の方が入手や扱いが容易であることがある。
欧州連合(EU)では2015年、150人がテロ攻撃で死亡した。また、イスラム過激派によるテロ件数は2014年の1件から、2015年には17件に急増。また、イスラム過激派によるテロ活動絡みでの逮捕者も2014年の395人から、2015年には687人に増えている。
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