フランスのオランド大統領は1日夜、来年の次期大統領選に出馬しない意向を明らかにした。フランスの現職大統領が再選を断念するのは1958年の第5共和制移行後で初。異例の決定により、選挙戦の行方は不透明さを増している。AFP通信などが伝えた。
オランド大統領はテレビ番組に生出演し、「十分な支持を集められないリスクを認識している」と言及した。同大統領は公約に掲げた失業率の改善を果たせず、支持率が過去最低水準に落ち込んでいる。ただ、近しい関係者はかねて、出馬に意欲的だとしてきた。
オランド大統領はテレビ演説の中で、国民に対して「進歩的な」政治的視点を持つよう求め、ポピュリストや極右勢力の台頭に警鐘を鳴らした。
与党・社会党は来年1月に大統領選の候補者を決める予備選を実施する。モントブール元産業再生相やバルス首相が意欲を示しており、世論調査ではバルス首相の支持が高い。
中道右派陣営は先に、フィヨン元首相を大統領選の候補者に選出。直近の世論調査では、これに極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が続く格好となっており、仮にバルス首相が本選に出馬したとしても現時点では3番手に甘んじるとみられている。
オランド氏は2012年5月、サルコジ前大統領を破って当選。ただ、リーダーシップの欠如や税制改革の方針転換などですぐに支持率が低下。高失業率や国内経済の低迷が追い討ちをかけた。また、2015年に入ってからはイスラム過激派によるテロ攻撃が相次ぎ、政権に影を落とした。
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