ドイツでトルコ人の難民申請件数が急増している。1~10月の累計は4,437件と、前年同期比2.5倍超に拡大。7月にトルコで起きたクーデター未遂以降、非常事態宣言により人権や報道の自由が脅かされていることが背景にある。独通信社フンケ・メディエングルッペが18日伝えた。
それによると、トルコ人による難民申請は1~6月に月平均350件で推移していたが、10月にはこれが485件に膨らんだ。今後も申請ペースが加速する見通しだが、連立与党・キリスト教社会同盟(CSU)のマイヤー内政担当は「反政府的な市民を全て受け入れてトルコの問題を解決することはできない。そうすれはエルドアン大統領の思うつぼだ」とコメント。ドイツのロート欧州担当相は先に、同大統領の政敵はドイツに難民申請できると発言しており、これを否定した格好だ。
トルコ政府はクーデター未遂以降、事件に関与したとみられる人物を多数逮捕し、企業や公共機関の閉鎖や資産没収を断行。また、ジャーナリストが拘束されメディア企業が閉鎖されるなど、表現の自由にも後退が見られる。ドイツがこれを非難したことで、両国関係は現在、冷え込んでいる。
なおドイツへの難民流入数は年初からの9カ月で21万3,000人。依然として高水準だが、過去最多を記録した昨年からはペースが大幅に減速している。通年では最大30万人の流入が見込まれ、昨年の約89万人から3分の1強に減少する計算だ。
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