パリで13日、昨年11月の同時多発テロから1周年の節目を迎えた。現場となったパリ北郊のスタジアム「スタッド・ド・フランス」などで追悼式典が開かれ、オランド大統領やイダルゴ・パリ市長が出席。サンマルタン運河では精霊流しが行われ、市民が連帯の意を示した。来年5月に大統領選挙を控える中、バルス首相はテロを受けて発動した非常事態宣言を延長する考えを示している。BBC電子版などが伝えた。
犠牲者が最も多かった中心部のコンサートホール「バタクラン劇場」は、厳重な警備の下で12日に営業を再開。英国人ロックミュージシャンのスティングがライブを行い、「暴力は何も生み出さない」と呼び掛けてテロに屈しない姿勢を示した。13日には銃撃や爆弾によって約130人が死亡した6カ所をオランド大統領らが訪れ、各地に設置された記念碑を披露した。
バルス首相はBBCとのインタビューで、「現時点で非常事態宣言を終わらせるのは難しい」と発言。「大統領選のキャンペーンが数週間後に開始され、集会などが行われる」と延長の理由を述べた。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に触発された単独犯が犯行に及ぶリスクは依然としてあると警鐘を鳴らしている。
同時テロによる仏国内での被害は、第2次世界大戦以降で最悪となった。翌日にISが犯行声明を出し、オランド大統領は非常事態を宣言。今年7月末に解除される予定だったが、フランス革命記念日の同月14日に南東部ニースで発生したトラック突入テロを受け、延長を決めた。なおこのテロでは86人が亡くなっている。
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