フランス政府は、全国民の個人情報をほぼ網羅する巨大データベースを創設する方針だ。既存の各種データベースを統合する計画で、効率化と身分詐称の防止が狙い。ただ、ハッキングのリスクや当局による個人情報の乱用への懸念から、反対の声が高まっている。AFP通信が7日伝えた。
政府は10月末、パスポートや国家身分証明書の交付に用いられる複数のデータベースの統合に向けた政令を発布。ルメール経済・財務相付デジタル・イノベーション担当相はこれについて、効率とデータの安全性を高める目的があると説明している。
これに対し、デジタル技術に関する政府の諮問機関、仏デジタル評議会(CNN)は、氏名や住所から顔写真、瞳の色、指紋に至る個人情報を1カ所に集めれば、悪用や乱用につながるとの懸念を示し、この計画の停止を勧告した。
フランス政府は過去にも何度か国民データベースの創設を試みている。1978年には、各種データベースを連携させようとする政府の試みが報道により発覚して問題となり、データ保護当局「情報処理および自由に関する国家委員会(CNIL)」が創設されたほか、2012年には当時の中道左派政権による計画が仏国務院(最高行政裁判所に相当)によって却下されている。CNILは今回の計画について、議会での審議を提案している。
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