フランス南東部プロバンス・アルプ・コートダジュール地域圏のビルヌーブルべ(Villeneuve Loubet)が海岸でのイスラム教徒の女性向け水着「ブルキニ」の着用を禁止する条例を発令したことについて、仏国務院(行政訴訟の最高裁に相当)は26日、この条例を差し止める判断を下した。
フランスではイスラム過激派によるテロ事件が相次いでおり、7月には南東部ニースでトラックが群集に突入し84人が死亡するテロ事件が発生。こうした中、宗教色の強い水着は公共の秩序を乱す恐れがあるとして、ビルヌーブルべやカンヌなど約30カ所の自治体が海岸でのブルキニ着用禁止令を発令。これに対し、反イスラム嫌悪団体や国際人権連盟傘下の人権団体は、この条例は違法と非難していた。
国務院は今回、「一部の遊泳者がある種の水着を着用しているからと言って、海岸の平和と秩序の確保が脅かされるとの証拠はない」と指摘。「ブルキニ禁止令は個人の基本的自由を侵すもので違法」との判断を下した。これを前例に、他の自治体でのブルキニ禁止令も却下される可能性がある。
これに対し、複数の自治体はあくまでこの条例を継続する方針を示している。バルス首相は先にブルキニの宗教性を理由に禁止令への支持を表明していた。世論調査によると、フランス国民の過半数はブルキニ禁止令を支持しており、右派からは全国への拡大を求める声も上がっている。これに対し、カズヌーブ内相はブルキニ禁止令は違憲との見解を示し、政府がこれを法制化すれば、「取り返しのつかない緊張を生むことになる」と話している。
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