英国のマイノリティーは、雇用や教育など多くの分野で不平等な扱いを受けている――。平等人権委員会(EHRC)が18日発表した報告書でこうした実態が明らかになった。英国の欧州連合(EU)離脱決定後はヘイトクライム(憎悪犯罪)も増えており、政府が早急な対策を取らなければ、人種間の対立と社会の分断につながると警告している。
報告書によると、黒人は白人と比べて殺人の被害者となる可能性が3倍以上高く、起訴されて有罪になる確率も3倍に上る。マイノリティーの失業率は12.9%と、白人の6.3%を大幅に上回るほか、大学卒の黒人は白人と比べて平均賃金が23.1%も低い。黒人のトップレベルの大学への進学率は6%と、白人の約半分にとどまる。また、アフリカ系黒人女性の死亡率は白人女性の4倍に上り、マイノリティーが貧困生活を送る確率は白人の2倍に上る。一方、判事や警察幹部などの権威者にマイノリティーが占める比率はきわめて低い。
EHRCのデービッド・アイザック委員長は、「長期にわたり社会に根付いた不平等に加え、EU離脱決定後にヘイトクライムが急増していることは憂慮すべき事態」と指摘。政府に対し、人種問題に対する包括的な新戦略を策定するとともに、犯罪・司法、教育、雇用などの不平等解消に向けた目標を打ち出すよう求めている。
EHRCは2006年の平等法に基づき、人種平等委員会と障害者権利委員会、機会均等委員会を統合する形で2007年に設立された。
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