フランス南東部プロバンス・アルプ・コートダジュール地域圏のカンヌは、海岸でのイスラム教徒の女性向けの水着「ブルキニ」の着用を禁止する条例を発令した。同国がテロの脅威にさらされている現在、宗教色の強い水着は公共の秩序を乱す恐れがあるとしている。AFP通信などが12日伝えた。
条例は「モラルと世俗主義を尊重しない衣服での海岸へのアクセスや遊泳を禁止する」と明記。ブルキニは、女性は顔と手足以外を覆うとするイスラム教の教えに則っているため、これに該当する。同市のリスナール市長はイスラム教を含む宗教的シンボルを禁止しているわけではないとする一方、「ブルキニはイスラム過激派の象徴」と断言。公共スペースでは守られるべきルールがあると述べた。違反者には38ユーロの罰金が科される。
これに対し、複数の反・反イスラム主義団体が提訴の構えを見せているほか、国際人権連盟傘下の人権団体もこの条例が違法に当たると非難している。
フランスでは7月、南東部ニースでトラックが群集に突入し84人が死亡するテロ事件が発生。北部ルーアン(Rouen)でもイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」メンバーを自称する男2人が教会に立てこもり、神父を殺害する事件が起きた。こうした中、同国では反イスラム主義が高まっている。
フランスでは2011年、ブルカやニカブなど顔全体を覆うベールの着用を禁じる法律が発効。ただ、頭髪のみを覆うヒジャブはこれに該当せず、ブルキニについての規定もない。
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