イタリアの元老院(上院、定数315)は2日、スーパーやレストランの食品廃棄の削減に向けた法案を181対2の賛成多数で可決した。政府はこれにより、廃棄される食品を年間100万トン減らせると見込む。
イタリアでは毎年、500万トンの食品が捨てられている。企業や家計へのコストは120億ユーロに上り、食品廃棄が国内総生産(GDP)を1%以上押し下げているとの試算もある。その背景には、企業が売れ残った食品を寄付する際の手続きが煩雑なことや、レストランで食べ残した料理を持ち帰る習慣がないことがある。
今回の法案では、企業による食品寄付の手続きを簡素化し、寄付の量に応じて税控除を適用する。また、スーパーなどが販売期限を過ぎた食品を寄付しても罰則を受けないようにするほか、農家が売れ残った農産物をコストをかけずに慈善団体に寄付できるようにする。さらに、農業省は食品の傷みをを防ぐ輸送用パッケージの開発に100万ユーロを投じ、レストランで食べ残した料理を持ち帰るなど、食べ物を無駄にしないよう国民を啓蒙するキャンペーンを展開する。
フランスでは今年4月、世界に先駆けて食品廃棄を減らすための法律が施行された。ただ、イタリアの新法が規制緩和や税控除により食品寄付を促す手法をとっているのに対し、同国の法律はスーパーなどに賞味期限切れや売れ残りの食品の寄付を義務付け、廃棄すれば罰則を科すなど、規制を強化する内容となっている。
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