米通信大手AT&Tは19日、独同業ドイツテレコムの米携帯電話子会社TモバイルUSAの買収を断念すると発表した。AT&Tは当初の取り決めにより、取引不成立の場合の費用として30億ドルをドイツテレコムに支払う。
この買収計画をめぐっては、米司法省が競争上の懸念から差し止めを求めて提訴しており、ブルームバーグによれば両社は訴訟継続には費用がかかりすぎるとの点で一致したという。
AT&Tは3月、TモバイルUSAを390億ドルで買収することで合意。だが、競合上の問題から米連邦通信委員会(FCC)が反対し、米司法省も8月末に提訴。その後、両社は11月末にFCCへの申請を撤回し、先週には訴訟についてワシントン連邦地裁が審理延期を決めたことで、取引は頓挫する可能性が高まっていた。
ドイツテレコムは売却で調達した資金を債務の返済や自社株買い戻し、欧州での投資に振り向ける計画だった。ドイツテレコムのオーバーマン最高経営責任者(CEO)は20日、今後の米携帯電話事業について長期計画で取り組む考えを示したが、売却に代わる具体案には言及しなかった。
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