英財務省は29日、年金制度の改革案を発表した。既存の年金基金を統合して250億ポンド規模の「メガファンド」とするほか、国内資産への投資を義務付ける方針を打ち出している。統合による運営の効率化や国内市場への資金流入を確保する体制づくりを進めていく。
英政府は昨年9月、年金基金の運用を経済成長につなげていくための制度の見直しに着手し、意見公募などを行ってきた。今回の素案では、地方自治体の年金基金にも国内市場への投資義務を課す方針で、国内市場向けに275億ポンドの資金が確保されるとしている。
BBC電子版によると、地方自治体の年金は86件のスキームがあり、総額3,920億ポンドを運用している。受給者は合わせて600万人を超え、低所得の女性が大半を占める。政府は来年3月までに、これらの年金基金を6つにまとめる計画だ。
一方、現在900件余りある確定拠出型の職域年金基金の運用総額は8,000億ポンドに上る。ただ、このうち運用額が250億ポンドを超えるものは10件で、これを2030年までに20件以上に増やすとしている。
年金基金の国内資産への投資の義務化については具体案は示さなかったが、法的拘束力のある目標を設定する方針。リーブス財務相は5月半ば、運用資金の5%以上を国内の民間資産に振り向けることを求めると述べていた。これに向け、保険大手のアビバやリーガル・アンド・ゼネラル(L&G)、資産運用会社M&Gインベストメンツなど、国内の確定拠出型年金の約9割を管理する計17社から合意を取り付けているという。ただ、政府がこうした義務を課すことには反対する声もある。
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