防衛機器や自動車部品を手がけるドイツのラインメタルは8日、衛星の製造や運用支援を行うフィンランドのアイスアイ(ICEYE)と合弁会社を設立し、衛星生産に乗り出すと発表した。西部デュッセルドルフ近郊ノイス(Neuss)の工場で2026年6月までに開始するとしている。
新会社の名称は「ラインメタル・アイスアイ・スペース・ソリューションズ」で、出資比率はラインメタルが60%、アイスアイが40%。電波の反射を利用し、天候や時間帯に関係なく高解像度の画像を生成できる「合成開口レーダー(SAR)衛星」を製造する。ラインメタルのノイス工場は1,500人の従業員を抱え、以前は自動車部品を製造していたが、需要の低迷を受けて防衛事業への転換を図っている。
ラインメタルのアルミン・パペルガー最高経営責任者(CEO)は「新たな合弁会社の設立により、われわれは宇宙分野へのさらなる進出を果たす」とコメント。その上で「世界の軍隊などによる宇宙偵察能力の需要の高まりに応えるだけでなく、ドイツの技術拠点としての維持や拡大にも貢献していく」と述べた。
アイスアイは昨年7月、ウクライナ国防省にSAR衛星を提供する覚書を締結している。
■第1四半期は49%増益
ラインメタルは14日、第1四半期(1~3月)の営業利益が前年同期比49%増加し、1億9,900万ユーロになったと発表した。軍事力を拡大する西欧諸国からの需要が引き続き高まっている。
売上高は23億500万ユーロと46%増加。うち、武器・弾薬部門は66%伸びた。電子機器ソリューション部門は49%拡大。一方、電力システムは7%減少した。営業利益率は全体で8.7%と、1年前から0.2ポイント上昇した。
ラインメタルは今年について、売上高が前年の97億5,100万ユーロから25~30%増加し、営業利益率は15.5%になると見込んでいる。
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