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EU、半導体目標の達成困難=会計監査院

欧州会計監査院(ECA)は28日公表した報告書で、欧州連合(EU)が掲げる2030年までに世界の半導体生産に占めるシェアを2割に引き上げる目標の達成は困難との見方を示した。

この生産目標は23年に成立した欧州半導体法に盛り込まれたもので、実現には域内の半導体生産能力を4倍に拡大することが求められる。これに向けて30年までに必要な投資額は推定860億ユーロで、このうちEUが45億ユーロを負担し、残りは加盟各国の公的支援や民間投資で賄う方針だ。ただ、同法には投資を促す拘束力のある措置は盛り込まれておらず、資金確保に向けた具体策は打ち出されていないという。

ECAはこれについて、世界の大手半導体企業の投資額は20~23年だけで総額4,050億ユーロに上り、EUの想定する投資額とは比較にならないと指摘。また、この金額は現時点での半導体需要から算出されており、人工知能(AI)チップを含む将来的な需要動向は織り込まれていないとの懸念を示した。

また、EUの半導体産業は少数の大企業が中心で、資金は大規模なプロジェクトに集中している。ECAはこうした構造について、各プロジェクトに一つでも遅延などの問題が生じれば、産業全体に大きな影響が出るという問題があると説明。さらに、原材料を輸入に依存している点や、域内のエネルギーコストの高さ、環境保護上の懸念、高度人材の不足などで、域内の半導体産業の強化が阻害されていると述べている。

欧州委は昨年7月、世界の半導体生産に占めるEUのシェアは、22年の9.8%から30年に11.7%に上昇するとの見通しを発表。目標未達を自ら予測したことになる。こうした中、業界団体の欧州半導体産業協会(ESIA)は同法の改定を求める政策提言を行っている。[EU規制]


関連国・地域: EU
関連業種: その他製造IT・通信マクロ・統計・その他経済

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