ドイツの製薬・化学大手メルクは28日、米バイオ医薬品大手スプリングワークス・セラピューティクスを39億ドルで買収すると発表した。スプリングワークスが手がける希少腫瘍治療薬を取得することで、がん治療薬事業の拡大を目指すとしている。
取引額は1株当たり47ドル。取引の可能性に関する情報が初めて市場で流れた前日の2月7日の株価に対し、26%のプレミアムを上乗せした水準で、時価総額では34億ユーロに相当する。メルクは手元資金と新規借入で資金を賄い、スプリングワークスの株主と規制当局の承認を経て下半期(7~12月)中にも取引が成立すると見込んでいる。
スプリングワークスは2019年、ニューヨーク証券取引所に上場。がんや希少腫瘍の治療薬を開発し、すでに「デスモイド腫瘍」と「神経線維腫症1型における叢状(そうじょう)神経線維腫」に対する治療薬を市場に投入。24年の売上高は1億7,200万ドルを見込む。
一方、メルクは昨年、頭頸部(けいぶ)がん治療薬ゼビナパントの開発中止を決定。以降は医薬品開発パイプラインの強化に力を入れており、ヘルスケア部門責任者のピーター・ギュンター氏は「スプリングワークスとの提携により希少腫瘍でのリーダーシップを確立し、この分野でのさらなる投資のための強固な基盤を築くという他に類を見ない機会を得る」とコメントしている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。