英政府は16日、国内の鉄鋼業界支援に最大25億ポンドを投じると発表した。トランプ米政権が鉄鋼とアルミニウムの輸入に25%の関税導入を予定していることを受け、与党・労働党の公約を改めて確認した形。一方、レイノルズ・ビジネス貿易相は公共放送BBCに対し、関税回避に向けた交渉を進める意向を強調した。
支援計画では、公共工事での英国製鉄鋼の使用や電気アーク炉(EAF)への転換を促進することで、地域経済の活性化も見込む。資金は、成長産業への投資基金「ナショナル・ウェルス・ファンド(NWF)」などを通じて調達する。
インドの鉄鋼大手タタ・スチールは昨年、英ウェールズ南部ポートタルボット(Port Talbot)の製鉄所を閉鎖し、2028年までにEAFを稼働させる計画を発表。12日に明らかにされたヒースロー空港の拡張計画では40万トンの鉄鋼が必要になるとされており、政府の支援計画にはこれらの事業が念頭にある。
一方、政府は米国に対する報復関税を導入しない方針を変えていない。レイノルズ氏は16日にBBCの番組に出演し、関税回避は「互いの利益になる」と強調。米政権の政策には理解を示しつつ、「英米の貿易関係に関しては、欧州連合(EU)や中国に対するものとは別の議論をしなければならない」と述べた。
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