ドイツ東部ブランデンブルク州で家畜から口蹄(こうてい)疫ウイルスが検出された問題で、農業・食品業界の利益団体「ドイツ・ライファイゼン協会(DRV)」は16日、経済損失が10億ユーロに上るとの推計を明らかにした。バリューチェーン全体にすでに深刻な影響が出ており、損失はさらに拡大する恐れがあると危機感を示した。
ブランデンブルク州は発生源から10キロメートルの範囲を制限区域に設定している。欧州連合(EU)はこの範囲外の畜産品については、EU域内での従来通りの販売を認めている。ただ、EU域内の企業の間では不確実性を理由に、ドイツ全土の食肉や乳製品を避ける動きが出ているという。
こうした状況に加え、英国や日本、韓国などはドイツ産の食肉や乳製品の輸入停止を決定している。DRVは停止措置の長期化に懸念を示し、「口蹄疫は人体には危険性はない」と強調。諸外国による科学的に正当化できない措置には、ドイツ政府による「即時かつ継続的な交渉」を求め、「われわれは、できるだけ早く輸出の自由を確保する必要がある」と訴えた。
ブランデンブルク州では10日、死んだ水牛3頭から口蹄疫ウイルスが確認され、家畜の移動禁止や殺処分、検査などの対応が取られた。州は17日、ウイルスのまん延はないとして、移動禁止措置を同日で終了すると発表した。制限区域は当面維持する。
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