英国政府は13日、人工知能(AI)の導入促進に向けた行動計画を明らかにした。新たなスーパーコンピューターへの投資などで、2030年までに国全体での処理能力を20倍に拡大することを目指す。複数の大手IT(情報技術)企業が総額140億ポンドを投じることを約束しており、1万3,250人の雇用創出が見込まれる。
政府はこれまで、安全保障や偽情報対策といった分野で重点的にAIを利用してきたが、今後は道路破損の発見や教育現場での記録管理など市民生活により近い部分での活用を進めていく。
また、ブラウンフィールドと呼ばれる未利用の土地を「AI成長ゾーン」に指定する。最初のAI成長ゾーンには核融合の研究拠点のあるイングランド南東部カラム(Culham)が選ばれており、AIの利用に必要となる大量の電力を確保するため、原子力発電の小型モジュール炉(SMR)の開発を加速させる方針だ。
国際通貨基金(IMF)の試算では、AIの導入が進むことで、生産性を年間最大1.5%向上させることが可能になる。政府は、英国では向こう10年間は年間平均470億ポンドの経済効果が見込めるとしている。
スターマー首相は、今回の行動計画はAI分野で「英国を世界のリーダーに押し上げる」とした上で、雇用創出と投資、公共サービスの変革が進むと述べた。
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