イングランド中部バーミンガムとロンドンを結ぶ高速鉄道「ハイスピード2(HS2)」計画を巡り、事業会社の新たな最高経営責任者(CEO)に就任したマーク・ワイルド氏は、プロジェクトが「非常に深刻な状況」にあり、「抜本的な見直し」が必要だとの認識を示した。
ワイルドCEOは「(計画の)成果は明らかだが、プログラムは非常に深刻な状況にあり、可能な限り低コストで実施できるよう根本的な見直しが必要だ」と指摘。向こう1年間で「リセット」を実現することに全力を尽くすと表明した。
今回の発言は先に、約225キロの路線敷設工事の進捗(しんちょく)状況を公開した後に行われた。
ワイルドCEOは、2024年12月にHS2事業会社のCEOに就任。大型の交通インフラ事業での経験が豊富で、ロンドン横断鉄道プロジェクト「クロスレール(エリザベス線)」の事業会社のトップを務めた経歴も持つ。
HS2は当初の計画から大幅な見直しを繰り返し、現在の計画では、バーミンガムとロンドンを結ぶ路線として建設が進められている。この区間ではすでに多くの工事が完了しており、英政府の最新の見積もりでは、残り区間の総費用は450億~540億ポンドとされている。
HS2の最新の報告によると、予定されている全長約88キロの双設トンネルのうち約61キロが掘削済みで、鉄道の切り通し、盛り土、駅、造園のための地盤整備作業の58%が完了している。また、計画されている227本の高架橋と通常の橋のうち、158本の建設が開始されている。
25年までに完了予定のプロジェクトには、ロンドン西部の約13.5キロのノーソルト(Northolt)・トンネルの掘削と、バーミンガムへの出入りを可能にする約5.6キロのブロムフォード(Bromford)・トンネルの完成が含まれている。
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