ドイツの化学大手エボニック・インダストリーズは11日、新たな成長戦略として、事業再編を実施すると発表した。ヘルスケア部門とコーティング・接着樹脂部門を中核事業に集中させる内容で、非中核事業は停止、もしくは売却で整理する。数百人の雇用に影響が出る。
整理対象事業の売上高は計3億5,000万ユーロ。再編後、ヘルスケア部門は、メッセンジャーRNA(リボ核酸、mRNA)および遺伝子治療用脂質、薬物送達システム、細胞培養原料といった成長分野に集中する。フランクフルト近郊ハーナウ(Hanau)での医薬品用途向けケト酸の生産は、2025年末で終了する予定。従業員260人が影響を受ける。
コーティング・接着樹脂部門は、タイヤ生産などに用いる液体ポリブタジエンと、医療技術や包装産業向けの特殊アクリルに重点を置く。既存のポリオレフィン事業や、コーティングおよび接着剤用途のポリエステル事業は、将来的に売却する。ポリエステル事業の従業員数は、ドイツと中国で計330人。
エボニックは「化学業界は今、世界中で構造的な変化が起きている」との認識を示し、リソースを成長分野に振り向けることで、発展の機会をつかむと説明している。[労務]
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