カタール投資庁(QIA)が、英国のスーパー大手セインズベリーの保有株およそ5%を3億600万ポンドで売却した。QIAは同社の筆頭株主で、売却前の出資比率は14.2%だった。当局への通知を元に、ロイター通信などが11日報じた。
QIAは、セインズベリーの株式1億940万株を1株当たり280ペンスで売却。これは、前日終値を2.8%ほど下回る水準となる。ブックランナーは、米投資銀ゴールドマン・サックス・インターナショナルが務めた。セインズベリーとQIAはいずれも、今回の動きに関するコメントを控えている。
市場調査会社カンター・ワールドパネルによると、セインズベリーの国内スーパーのシェアは15.2%と、首位のテスコ(28%)に次ぐ2位につけている。QIAは2007年にセインズベリーへの戦略出資を開始。出資比率は一時25%まで高まっていたが、21年から保有株を順次売却している。
アナリストは、セインズベリーの株価が前年比12%ほど上昇していたことから、QIAは株取引の好機と判断した可能性が高いと分析。売却の際の割引率から見ても、セインズベリー株に対する十分な需要があったとみている。
セインズベリーは今年2月、3年間で10億ポンドのコスト削減戦略を発表。6月には金融事業セインズベリー・バンクの中核資産を金融大手ナットウエスト・グループ(旧ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ)に売却する取引をまとめるなど、財務基盤の強化に動いている。
QIAは英国ではほかに、金融大手バークレイズやロンドンの老舗高級百貨店ハロッズに出資している。
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