欧州連合(EU)加盟27カ国は4日、中国製電気自動車(EV)に課す追加関税の最終案を巡る投票を行い、この案を承認した。最大35.3%の追加関税が現行の自動車輸入関税10%に上乗せされることになる。欧州委員会が発表した。
欧州委は、10月30日までに追加関税に関する実施規則を官報で公表する必要がある。同委はこれと並行して、中国と追加関税の回避に向けた交渉を続けるとしている。
ユーロニュースによると、最終案にはドイツ、ハンガリー、マルタ、スロベニア、スロバキアの5カ国が反対票を投じた一方、フランスやイタリアなど10カ国が賛成した。反対を表明していたスペインは棄権に回り、棄権国はスウェーデンやチェコ、ルーマニアなどを含め計12カ国に達した。
採決は特定多数決方式で行われた。加盟国のうち15カ国以上が反対し、反対する国の人口がEU全体の65%を上回れば追加関税は取り消しとなっていた。ドイツは国内自動車メーカー各社が中国で現地生産したEVをEUに輸出していることから、当初から追加関税の導入に反対していた。同国が15カ国以上の反対派を結集するには至らなかったものの、棄権国の多さからは、加盟国間の意見の相違が浮き彫りとなった。
ロイター通信によると、ドイツの高級車大手BMWのオリバー・ツィプセ最高経営責任者(CEO)は今回の投票結果を受けて、「欧州自動車産業にとって致命的」とコメント。欧州委は中国との貿易摩擦解消に向け早急に合意すべきと訴えている。また、同国の自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、関税は「誤った手法だ」と非難。ハンガリーのオルバン首相は、EUは中国との「経済的な冷戦」に向かっていると批判している。
一方、フランスの自動車業界団体PFAは追加関税導入を歓迎するとした。[EU規則]
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