欧州連合(EU)が計画する中国製電気自動車(EV)への追加関税を巡り、スペインのサンチェス首相は11日、導入を見合わせるべきとの考えを表明した。ブルームバーグによると、ドイツもこれに同調する姿勢を示しており、欧州委員会は方針転換を余儀なくされる可能性もある。
中国を訪問中のサンチェス氏はこの日、上海近郊の崑山の産業団地で開かれたイベントで、「加盟各国だけでなく、欧州委員会も見解を考え直す必要がある」と述べた。「誰の利益にもならない貿易戦争は望まない」とした上で、「スペインが橋渡し役となり、中国とEUの強固で協力的な関係を築いていく」ことに意欲を示している。
ドイツ政府の報道官はこれを受け、「ドイツもスペインと同じ方向に向かっている」とコメント。サンチェス首相の発言に賛同する構えを見せている。
中国はEVへの追加関税に対し、EU産の豚肉や乳製品に報復関税を課すことを示唆しており、これらの輸出が多いスペインは苦しい立場に立たされている。また、ドイツでは中国に工場を構える自動車大手各社が追加関税の導入に猛反発しているほか、中国が報復措置として、原材料や部品の供給を制限する可能性も懸念されている。
欧州委員会は7月初め、中国政府のEV産業への補助金が競争を歪めているとして、中国製EVに対する暫定的な追加関税を導入した。8月には最高税率を36.3%とする追加関税の最終案を発表。11月初めの適用開始を予定しており、10月にこの最終案を巡る採決を実施する。
特定多数決方式で加盟国のうち15カ国以上が反対し、反対する国の人口がEU人口の65%を上回れば追加関税は取り消しとなるが、現時点では承認される可能性が高いとみられている。[EU規制][環境ニュース]
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