ファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の欧州合弁会社ヨーロピアン・セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(ESMC)は20日、ドイツ東部ドレスデン工場の着工式を執り行った。TSMCにとって初の欧州工場となり、半導体の安定供給確保を目指す欧州連合(EU)もこれを歓迎している。総工費100億ユーロのうち50億ユーロはドイツ政府が拠出する方針で、欧州委員会が同日承認した。
着工式には、ドイツのショルツ首相や欧州委のフォンデアライエン委員長も出席した。ショルツ氏は「半導体の確保は、ドイツのすべての産業にとって必要不可欠」と強調。フォンデアライエン氏も、同工場の建設は「すべての当事者に利益をもたらす」との考えを示した。
欧州委はこれに先立ち、ドイツ政府による50億ユーロの補助金を承認。この計画は「欧州における半導体技術の供給と強靭(きょうじん)さ、デジタル主権を強化するもので、欧州半導体法の目的にかなう」との判断を示していた。欧州委は承認の条件として、中小企業への供給確保などをESMCに義務付けている。
今回の補助金は、欧州半導体法に基づく補助金としては最大規模となる。同法は、域内の半導体産業向けに官民合わせて430億ユーロの投資を確保することにより、世界の半導体生産高にEUが占める比率を2030年までに現在の2倍の20%に引き上げることを目指す。
新工場では2,000人を雇用し、直径300ミリメートルのウエハーを1カ月当たり4万枚生産する予定。TSMCは昨年8月、同工場の建設に向け、ドイツの自動車部品大手ボッシュ、半導体大手インフィニオンテクノロジーズ、オランダ半導体大手のNXPセミコンダクターズと合弁でESMCを設立すると発表。ESMCには、TSMCが70%、欧州3社がそれぞれ10%を出資している。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。