ソフトバンクグループは、英国の人工知能(AI)向け半導体メーカーの英グラフコア(Graphcore)を買収した。半導体とAI分野で投資を強化する戦略の一環で、グラフコアはソフトバンクの完全子会社になるが、社名は維持する。グラフコアが12日発表した。
ソフトバンクにとって、英国の半導体企業の買収はアーム・ホールディングスに続いて2社目となる。買収額などは明らかにしていないが、フィナンシャル・タイムズは複数の関係筋の情報として、6億ドル強と報じている。
グラフコアは2016年の設立。イングランド南西部ブリストルに本拠に、AIアプリケーションの処理などに使われるインテリジェンス・プロセッシング・ユニット(IPU)を開発する。これまでに、米マイクロソフト(MS)やベンチャーキャピタル(VC)大手セコイア・キャピタルなどから総額7億ドル以上を調達しており、20年12月に行ったシリーズEの資金調達の際の評価額は、27億7,000万ドルだった。
ただ、事業環境の悪化などで、22年通期の税引き前損失は2億460万ドルと前期比11%拡大。同社はこれを受け、20%の人員削減に加え、ノルウェー、日本、韓国で事業閉鎖に踏み切った。また、新たな資金調達を行う必要性があることを明らかにしていた。
グラフコアの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のナイジェル・トゥーン氏は今回の取引について、「本当の意味で革新的なAI技術を構築するというグラフコアの能力が評価された」と述べている。[日本企業の動向]
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