インドの鉄鋼大手タタ・スチールは6月28日、労働組合ユナイトに加盟する従業員が7月8日からストライキを実施する場合、ウェールズ南部ポートタルボット(Port Talbot)の二つの高炉を前倒しで数日中に閉鎖する方針を明らかにした。人員不足で安全に操業できない可能性があるためと説明。ユナイトはこれを「脅迫だ」として反発している。
タタは当初、高炉の一つを6月末までに、もう一つを9月末までに閉鎖するとしていた。同社は今回、「スト期間中に安全な操業を続けられる確信が持てなければ、数日中に稼働を停止せざるを得ない」とし、ユナイトにストを中止して、他の労組と同様に同社の提案を検討するよう呼びかけた。
これに対しユナイトは、「長年にわたる脅迫の一環だ」と反発。インド本社の「真の意思決定者」に交渉の席に着くよう求めている。
タタは昨年9月、ポートタルボット製鉄所の低炭素化に向け、英国政府から5億ポンドの補助金を獲得。今年1月には、二つの高炉を閉鎖して低炭素の電炉に転換し、最大2,800人を削減する方針を示した。これに反対するユナイトは先に、7月8日から無期限ストを開始すると発表。ただ、タタは同労組のスト実施を巡る採決に不備があったとして、英高等法院に差し止めを求めており、ユナイトがストの中止を命じられる可能性もある。
なお、タタ従業員が加盟する他の労組コミュニティーとGMBは、7月4日の総選挙の結果を待ってストを実施するかどうかを決めるとしている。選挙での勝利が予想されている最大野党・労働党は、タタとの緊急協議に優先的に取り組むことを公約している。[労務][環境ニュース]
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