英国・ロンドンで同国最大のスタートアップイベント「ロンドン・テック・ウイーク」が10日から始まった。最大の注目は人工知能(AI)の活用だ。英国で官民が一体となりAIの開発が進む中、イベントではその潜在的リスクについての議論も熱を帯びている。
同イベントには、世界各地から5,000社以上のスタートアップ企業が参加。会場にはウクライナやパレスチナ自治区のブースも設けられ、参加者は投資家に向け自社の魅力を懸命にアピールしていた。
日本からも、法律関連業務にIT(情報技術)技術を活用するリーガルテックや、アフリカの地域支援を行うスタートアップなど6社が参加。日本貿易振興機構(ジェトロ)ロンドン事務所の伊藤吉彦氏は「他のスタートアップや投資家など、さまざまな人が立ち寄ってくれている。英国ではとりわけ法務、環境、アフリカといった分野への注目度が高いと感じる」と話していた。
会場には、偽情報の拡散などさまざまなリスクが指摘されるAIを巡り、識者らが議論する場が複数設置されている。11日に、「社会を良くするためのAI」と題されたパネルに登壇した国連児童基金(ユニセフ)の職員は「イノベーションを止めるべきではない」とした上で、「将来的なリスクに対する責任は、AIではなく私達人間が負わなければならない」と訴えた。AIへの規制を巡っては5月、世界初の包括的な規制法が欧州連合(EU)で成立している。
イベントは6月14日まで開催。総選挙が7月に決まったことから、当初予定されていた政府高官の登壇は取りやめとなった。
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